オランウータン

TIM LAMAN

オランウータン-Gitzoの物語

ティム・レイマンは、アメリカの生物学者・野生動物フォトジャーナリスト。幼少期を過ごした日本で山や海に触れ、自然に強い興味を持つ。

アンバサダーのプロフィール


どこに行った? ボルネオ

オランウータンの手をよく見ると、否が応でも人の手にそっくりなことに気付かされます。 そう、私たちはつながっています。偉大なる類人猿の仲間なのです。 そして、それこそが、重労働であるにも関わらず、私がオランウータンの撮影をやめられない理由の1つなのです。 彼らと共に時間を過ごし、彼らがどれだけ私たちに似ているかを知り、彼らの生活を写真という絵物語によって記録していく作業は、驚きの連続です。

 

私はティム・レイマン。フィールド生物学者兼野生生物フォトジャーナリストです。
1997年、私は、ボルネオの熱帯雨林の林冠に関する研究によって、ハーバード大学で博士号を取得しました。
その論文はまた、私にとってはじめてナショナルジオグラフィック誌に掲載された記事になりました。
以来、私は、野生の地を探索し、絶滅の危機に瀕している、あまり知られていない野生生物を記録に留めることに情熱を燃やし続け、ナショナルジオグラフィック誌に20以上のフォトストーリーを発表してきました。
ここでは、私の大好きな被写体のひとつである、野生のオランウータンの物語をご紹介します。

私はすでに汗まみれです。いま着ているTシャツを脱いだら、そこから半リットルほどの水を絞り出すことができるでしょう。
ですが、まだ足取りは掴めていません。私はボルネオの熱帯雨林を掻き分けて進んでいます。
何のためかって?私はいま、私の頭上で、木から木へぐいぐい渡っていく野生のオランウータンを撮影しようとしているのです。
実を言うと、ちょうどいい距離を保ちながら彼女のあとを追うこともできたのですが、そうしてみたところで、面白い写真は1枚も撮ることができなかったでしょう。
なので、こうして、この若いメスのオランウータンに先回りして丘の上に這い上がり、彼女が通るであろう木を予想し、葉の隙間を通してその瞬間を捉えることのできる場所を探しているのです。
私はいま、200-400mm F4レンズを付けたキヤノンのカメラを、私が信頼を寄せているジッツオの三脚にマウントし、それを脇に抱えています。
カメラや三脚をすぐに展開できるように準備しておくことは、何より重要です。オランウータンはほんの数秒しか姿を見せないかもしれないからです。

私はいま、私の頭上で、木から木へぐいぐい渡っていく野生のオランウータンを撮影しようとしています。 実を言うと、ちょうどいい距離を保ちながら彼女のあとを追うこともできたのですが、そうしてみたところで、面白い写真は1枚も撮ることができなかったでしょう。

 

丘を登っていくのは重労働ですが、実は、私はこのような丘陵地帯が大好きなのです。
丘陵地帯はオランウータンを撮影するのに最適で、目の高さで撮影することによって、林冠の上にいるというのはどんな気持ちなのかを伝えることができるからです。
オランウータンは地球上で最大の樹上生活者です。オスは体重が最大90kg、メスはその約半分です。
彼らは、巨大な手と長い指を駆使して、木から木へと渡っていきます。その器用さは目を見張るほどです。
私たち人間とは違って彼らの足指は非常に長く、さらに、私たちの親指にそっくりな逆向きの足指も持っています。
これは、木登りに関してこの上なく便利です。かく言う私は、木登りがあまり得意ではありません。
もちろん、ロープを使って登ることはできますが、そうするととても時間がかかってしまい、私が樹上に着く頃には、彼らははるか遠くへ行ってしまっていいます。
人間は走った方が速く移動できます。だからこそ私は、カメラと三脚を抱えて丘を登ろうとしているのです。
私は明るい空を背景に被写体を撮影するのが好きではありません。なので、緑を背景に撮影できるポジションを取るためには、決して努力を惜しみません。

オランウータンの手をよく見ると、否が応でも人の手にそっくりなことに気付かされます。
そう、私たちはつながっています。偉大なる類人猿の仲間なのです。そして、それこそが、重労働であるにも関わらず、私がオランウータンの撮影をやめられない理由の1つなのです。
彼らと共に時間を過ごし、彼らがどれだけ私たちに似ているかを知り、彼らの生活を写真という絵物語によって記録していく作業は、驚きの連続です。私は動物園やリハビリセンターに行きません。
そこにいるのは、飼い慣らされた、元ペットのオランウータンだからです。
私の目的は、本来の生息地に棲む野生のオランウータンの行動を記録することなのです。
私が最もよく撮影を行うのは、インドネシア西カリマンタン州、ボルネオ島のグヌン・パルン国立公園と呼ばれる場所です。
この公園には、世界最大級の健全なオランウータンの個体群が生息しています。私の妻シェリル・ノットは、20年以上に渡ってグヌン・パルンのオランウータンを研究し続けている霊長類学者です。
そのことが、私にとって1つのメリットであることは私も大いに認めるところです。私は、オランウータンを追いかけ、そのあらゆる行動についてデータを集めている彼女や彼女の研究助手とチームを組んで撮影をしています。
彼女らと行動を共にできることは、広大なグヌン・パルンの熱帯雨林の中でこの神出鬼没の類人猿の姿を捉えるうえで、この上なく有利です。ただし、撮影はすべて私が担当しています。

私は動物園やリハビリセンターに行きません。そこにいるのは、飼い慣らされた、元ペットのオランウータンだからです。 私の目的は、本来の生息地に棲む野生のオランウータンの行動を記録することなのです。

 

オランウータンを撮影するうえでの最大の課題は、適切なポジション取りに加え、光をどうコントロールするかです。
光はほとんど木々によって遮られてしまいます。加えて、オランウータンは、光の弱い、1日の早い時間と遅い時間に最も活動的になり、その時間帯に興味深い行動を取っているのです。
そのため、たとえ高ISOで高品質の写真を生成することのできる最新のカメラを使用していても、三脚は不可欠です。
三脚を使用することによって、撮影限界を押し広げ、わずかな光の下でも鮮明な写真を撮ることができるのです。
オランウータンは決して俊敏に動く動物ではありません。空を飛ぶ鳥とはまったく異なり、その動きを止めるために高速シャッターを使ったりする必要はありません。
ここにご紹介しているものを含め、私の写真の多くはシャッタースピード1/60秒以下で撮影したものです。中には、1/20秒や1/30秒というスローシャッターで撮影したものもあります。
これは、400mmレンズでの撮影においてはとんでもなく遅いシャッタースピードです。このようなシャッタースピードで鮮明な写真を撮影するには、堅牢で軽量な三脚が必要不可欠です。
私はとりわけ背の高いジッツオシステマティック三脚3型を愛用しています。この三脚なら、カメラを若干上に向けても、まっすぐ立ったまま撮影することができるからです。
撮影の間、三脚のうしろでずっと背中を丸めていたのでは疲れてしまいます。この三脚の飛び抜けた高さは、険しい丘の斜面で撮影するときにも非常に便利です。
1本または2本の脚を、斜面のやや下がった位置に突くことによって、三脚を水平に保つことができるからです。
私は、ジッツオの、森の中を移動する際にブドウの蔓や若木に引っかかりやすいノブやレバーがないところも、とても気に入っています。無駄なくすっきりデザインされた脚は、何かに引っかかることもなく、素早い取り回しが可能です。

だからこそ私は、こうしてオランウータンに先回りすることができたのです。彼女はきっと今ごろ、好物の花芽を食べに、私が見つめているこの木に向かっていることでしょう。
私は、枝の間から上を見通せる下生えの隙間を見つけ、カメラと三脚を素早くセットします。私には、眉の上の汗を素早く拭う余裕さえあります。
そして、そう、今度こそ私の判断は正しかった。彼女は、ひらけた場所で、片手で木にぶら下がったまま、大好きな花芽に口を……。今だ!

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